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Yasuhiro Koma

拡大するeスポーツ市場 -ともぞうコラムVol.1-



はじめまして、ともぞうと申します。

eスポーツに馴染みがない方はいきなり「え?」と思われることが多いかもしれません。eスポーツ界では本名ではなく、ゲーム内のハンドルネームで活動することが多く、この名義で5年ほど活動しております。

2017年までゲーム関係の会社で働いており、2018年からフリーランスに。その後、オーディションを経て、現在はeスポーツキャスターを主に活動しております。

この度、"広くeスポーツの魅力を伝えてほしい"というご依頼をいただき、私自身より多くの方にeスポーツを知っていただきたく、担当させていただくことになりました。

よろしくお願いします。



拡大するeスポーツ市場

さて、記念すべき第1回ですが皆さんの大好きな"お金"の話をしたいと思います。(笑)

eスポーツが社会的に注目されて数年が経過しました。

マスメディアに取り上げられないとなかなかeスポーツの情報に触れる機会は少ないかとは思いますが、市場は順調に拡大しています。

まずは日本。

2021年のeスポーツ市場規模は78.4億円と発表されています。2020年に比べると115.5%。2018年が48.3億円なので3年で約30億円の拡大となっています。

これら数字は日本eスポーツ連合(JeSU)から発行されている『日本eスポーツ白書2022』に記載されています。参考リンクを以下に示しておきます。


(参照:日本eスポーツ連合(JeSU)公式サイト)


一方で、世界のeスポーツ市場はどうなのか。

こちらも堅調に推移しています。2022年には14.2億ドルと試算されています。現在の為替から1ドル=130円で計算すると1,846億円となります。

2027年には22.3億ドルまで増加すると予想されており、その場合2,899億円となります。

サッカーや野球などのトップスポーツと比べてしまうと、まだまだ市場規模は小さいと言わざるをえませんが、今後も成長が見込まれる有望な市場であることは間違いないでしょう。



eスポーツ選手に億万長者はいるのか?

億万長者とは、1億円の資産を持つ人と定義すると、eスポーツ選手で1億円以上を稼ぐ選手がいるのか?

結論"います"。

海外サイトに選手が獲得した賞金額ランキングがまとめられており、1位はデンマーク出身のN0tail選手。19歳からプロとしての活動を始め、およそ10年間で獲得した賞金は718万ドル。日本円で(また1ドル=130円で計算すると)、約9.3億円となります。(2023年4月時点)

プロ活動期間が10年と考えると、1年平均で1億円というところでしょうか。

(ただし、賞金額をどれだけ受け取っているかは不透明な部分があります)

ただし、これはあくまで大会の獲得賞金額であり、選手には賞金とは別にチームからの給与やスポンサー収入、配信による収入などが考えられます。

そのため、eスポーツ選手の年収は、もっと多いと考えられます。


どうですか?夢のある話ではないでしょうか。

つまるところ、eスポーツドリームは、あります。


ちなみに、日本人で最上位はというと、『Shadowverse』のプレイヤーkakip選手が103位にランクインしています。獲得金額は124万ドル(約1.6億円)。

ただし、kakip選手の場合、この獲得賞金のほとんどを1回の大会で獲得している点が驚きです。

2021年に行われた『Shadowverse』の世界大会の優勝賞金がなんと1億5,000万円!大会全体の賞金総額も2億8,000万円と破格の大会だったこともあり、当時この大会は国内でも注目されました。


もう一度言わせてください。

eスポーツドリームは、あります。



群を抜くDota2選手の獲得額

さて、改めてeスポーツ選手億万長者ランキングのトップ100に話を戻させていただきます。

実は100位にランクインしているそのほとんどの選手がとあるタイトルの選手となります。

そのタイトルは『Dota2』。

日本では国内リーグなどが存在しないため、eスポーツタイトルとしてはあまり知られていないかもしれません。

しかし、プレイ人口は全世界で1億人と言われており、MOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)とよばれるゲームジャンルで世界でも1、2を争うタイトルとなっています。

億万長者ランキング・トップ10を以下に示しますが、

1位 N0tail 718万ドル(9.3億円)

2位 JerAx 648万ドル(8.4億円)

3位 ana 602万ドル(7.8億円)

4位 Ceb 582万ドル(7.5億円)

5位 Topson 569万ドル(7.3億円)

6位 KuroKy 528万ドル(6.8億円)

7位 Miracle- 488万ドル(6.3億円)

8位 Matumbaman 487万ドル(6.3億円)

9位 MinD_ContRoL 466万ドル(6.0億円)

10位 GH 428万ドル(5.5億円)

となり、上記全てがDota2の選手となります。

こうなってくると、Dota2の大会賞金額が皆さん気になってきますよね?



eスポーツ界でも圧倒的賞金額をほこるDota2

それでは、Dota2の世界大会の賞金額について触れてみたいと思います。

2022年に行われたDota2の世界大会の賞金総額は以下のとおり。


GAMERS GALAXY: Invitational Series Dubai 2022 — 272,467ドル(約3,500万円)

ESL One Stockholm Major 2022 — 500,00ドル(約6,500万円)

Riyadh Masters 2022 — 4,000,000ドル(約5.2億円)

PGL Arlington Major 2022 — 500,00ドル(約6,500万円)

ESL One Malaysia 2022 — 400,000ドル(約5,200万円)


いかがでしょう?「あれ?こんなもの」と思った方は多いのではないでしょうか。

Dota2は5人で1チームとなるため、仮に賞金が手に入ったとしても単純計算で5等分されるでしょう。そうすると、なかなかN0tail選手の10億円ちかくには届かないですよね。

仮に上記のRiyadh Mastersで優勝し、賞金を単純に5等分すると選手1人あたり1億円とはなりますが、10年連続優勝をしないといけない。これはかなりの離れ業です。

かつ、チーム戦となるeスポーツタイトルにおいては、選手が賞金を満額でもらえることはほぼなく、一部はチームの運営費などに回ります。

では、なぜDota2の選手はここまで賞金額が高いのか?

それは、年に1度行われるその年の王者を決める『The International』が破格の賞金額をほこっているからです。

以下に直近3大会の『The International』の賞金総額を示します。


The International 2022 — 18,930,775ドル(約24.6億円)

The International 2021 — 40,018,195ドル(約52.0億円)

The International 2019 — 34,330,068ドル(約44.6億円)


いかがでしょう?今度こそ驚いた方は多いのではないでしょうか。

2022年大会においては、Tundra Esportsが優勝しており、獲得した賞金額は8,518,822ドル(約11億円)となっています。


Dota 2 The International 2022 - Main Event - Final Day


どうでしょう。

ここまでの規模をみると、eスポーツが"単なるゲームの大会"ではなく、ひとつの"競技"として社会的に認知され始めていることがご理解いただけるのではないでしょうか。

ただし、Dota2の賞金額はeスポーツ界の中でも異例です。高額になっている理由は、ゲーム内のアイテム販売により賞金額が増えるという仕組みになっており、機会があればこの点もお話できればと思っています。

(なかなかおもしろいビジネスモデルともいえますので)


今回は"お金"を切り口にDota2まで紹介させていただきました。

本コラムでは特定のタイトルにとどまるだけではなく、広くeスポーツの魅力をお話できればと思います。

このコラムで少しでもeスポーツにご興味を持っていただけると嬉しい限りです。

それではまた次回。



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