今、最も日本国内で人気が高いeスポーツタイトル
前回私が主にキャスターとして担当している『レインボーシックスシージ』(以下、R6S)を紹介させていただきました。このR6Sは、FPS( First-person shooter)というジャンルにカテゴライズされています。一人称視点。つまり人間の視点に近い視点で撃ち合いを行うゲームジャンルのことです。
そのFPSにおいて、現在国内で空前のブームを生み出しているタイトルがあります。
それがRIOT GAMESがリリースした『VALORANT』。
既にこの「esportsfan.jp」でもVALORANTの魅力について触れた記事がアップされています。
こちらを読んでいただけると、よりこのゲームの魅力が伝わると思うので、合わせて読んでいただけると幸いです。
さて、上記記事でも取り上げられているのですが、VALORANTのeスポーツ国内視聴において、最高同時接続が41万人。
この点をさらに各国の視聴数で比較してみます。放送時間が近いもので比較すると以下の通り。
日本地域:放送時間 85時間20分
平均視聴数 67,615 ピーク時視聴数 137,160
フランス地域:放送時間 95時間40分
平均視聴数 7,817 ピーク時視聴数 44,997
スペイン地域:放送時間 87時間15分
平均視聴数 3,304 ピーク時視聴数 10,044
(引用元:VALORANT News.jp https://valorantnews.jp/archives/62428)
もちろんここに書いていない北米地域が最も視聴数が多いのですが、これは北米地域というより英語圏と考えるべきかと思います。
それ以外の言語である程度地域が限定されている言語と考えた場合、日本が圧倒的な視聴数になっているとは思いませんか?
このとおり、現在、日本国内において最も人気があるタイトルの一つと言えるのがVALORANTなのです。
Riotが描く壮大なリーグ計画
前述した本サイトの記事にもVALORANTにおけるeスポーツの仕組みについて触れていますが、今回はよりその部分に焦点をあてて、お話したいと思います。
まずRIOT GAMESが描くeスポーツの思想が以下となります。
eスポーツとゲームシステムの関係
(引用:VALORANT//JAPAN YouTubeチャンネルより)
グローバルイベントとは世界大会を指し、その下にインターナショナルリーグと呼ばれる、各エリアのトップリーグが存在します。更にその下に日本といったサブリージョンが存在し、インターナショナルリーグの参加を目指して戦います。
それらeスポーツシーンと、ゲーム内のシステムがシームレスに繋がることを目指している点が、VALORANTの非常に優れた点だと感じています。
世界大会=グローバルイベントは2023年は4つ予定されています。
2月:VCT2023 LOCK//IN
6月:VCT2023 Masters Tokyo
8月:VALORANT Champions 2023
11月:VCT2023 Game Changers Championship
そうなんです。今年6月の世界大会は東京で開催されます。
私も既にチケットを確保しているので、今から楽しみで仕方ありません。
次に、インターナショナルリーグについて説明します。インターナショナルリーグは、大きく3つのエリアに分けられました。
インターナショナルリーグのエリアについて
上記画像には開催都市が掲載されていますが、3つの地域は、
Americas:北米、南米地域
EMEA:EUを中心とした、中東、アフリカを含む地域
Pacific:アジア、オセアニア地域
2023年は各エリア10チームが招待というかたちでリーグをスタートさせ、日本は2チーム(ZETA DIVISION、DetonatioN FocusMe)がPacificリーグに所属。アジアの強豪チームと激しい戦いを演じています。
ちなみに、上記画像に都市名が入っているのは、各リーグはこれら都市にてオフラインで開催されています。つまり、10チームがこれら都市に集まり、例えばZETA DIVISION、DetonatioN FocusMeもシーズン中は韓国・ソウルに拠点を構え、選手、スタッフは生活しています。
インターナショナルリーグの出場チーム
各エリア10チームのスキームは、あくまで始まりにすぎません。
今後数年に渡り、VALORANTのeスポーツシーンは拡大していくことを既にRIOTが発表しています。その計画は以下のとおりです。
VALORANTトップリーグの6カ年計画
基本的に2027年まで、現在のインターナショナルリーグ所属チームは降格などでリーグを離れることはありません。2027年に42チーム(1リーグあたり、14チーム)になった段階で、チームの入れ替えが発生します。
それまでは、各エリア1チームずつが下部リーグからインターナショナルリーグに参戦していく形となります。
昇格については、改めてまとめたいと思います。この点ですが、日本国内のリーグ優勝チームが直接昇格権を得られるわけではありません。日本優勝後、他の国で同様に勝ち抜いてきたチームと地域決定戦を戦わないといけません。それだけインターナショナルリーグに参戦することは、難しいのです。
インターナショナルリーグに話を戻すと、2028年までの計画が明確化されていることは、eスポーツチームにとっては、大きなことだといえるのではないでしょうか。
まだまだeスポーツのリーグ運営には不安定な部分があり、タイトルによっては来年のリーグ開催も不透明なものも少なくありません。VALORANTに関しては、開発元がここまで明確にリーグ実施を宣言してくれているので、eスポーツチームからすれば、将来の計画が立てやすいといえます。
それだけ、RIOTはVALORANTのリーグを成功させることに、本気だということが分かります。
激闘のPacificリーグ!ZETAが日本ファンの希望をつなぐ
本コラム執筆時点(2023/05/19)で、各インターナショナルリーグは終盤に差し掛かっています。特に、日本チームが所属するPacificはレギュラーシーズンが終了し、10チームから6チームに絞り込まれ、プレイオフが始まろうとしています。
インターナショナルリーグが各エリア10チームで行われていることは、先に述べました。レギュラーシーズンは、まずこの10チームが総当り戦のBO3(2マップ先取で勝利)を実施します。
その後、レギュラーシーズンの成績上位6チームがプレイオフに進み、ダブルエリミネーション方式のトーナメントに挑みます。グランドファイナルはBO5(3マップ先取で勝利)、それ以外は全てBO3となります。
このプレイオフの成績上位3チームが東京で行われるMasters=世界大会に参加することができます。
それでは、Pacificのレギュラーシーズンの結果をみてみましょう。
Pacific 2023年レギュラーシーズン順位表
(引用元:VALORANT Champions Tour JAPAN 公式Twitterより)
残念ながら日本2チームのうち、DetonatioN FocusMeは敗退となり、Mastersへの道は閉ざされてしまいました。
一方で、ZETAは4位と健闘し、プレイオフに進みます。プレイオフの組み合わせは以下の通りとなります。
Pacific 2023年プレイオフ組み合わせ
2022年のMastersで世界3位に輝いたZETAには、多くの期待が集まっています。ただ、そのZETAもレギュラーシーズンは5勝4敗と苦しんだのは事実。それだけ、アジア地域のレベルが高まっている現れだといえます。
その中でも圧倒的な存在感をみせているのが、DRX。
韓国のチームであり、近年ZETAと共に、アジア地域のVALORANTシーンを引っ張ってきました。DRXも世界大会3位の実績がありますが、注目すべきは成績の安定感であり、直近の世界大会の成績は以下となります。
VCT 2022: Stage 1 Masters - Reykjavík:ベスト6
VCT 2022: Stage 2 Masters - Copenhagen:ベスト6
VALORANT Champions 2022:3位
VCT 2023: LOCK//IN São Paulo:ベスト4
DRXは世界での評価も高く、次の世界大会はいよいよグランドファイナル(決勝)に進出するのではないかといわれています。
ZETAは初戦のTeam Secretに勝利すれば、このDRXと戦わなければいけません。DRXに敗れたとしても、その次の試合で勝てばMastersに進めることにはなりますが、いずれにせよ厳しい戦いが続きます。
今年から新しいリーグ形式になったことで、Mastersと呼ばれる世界大会は年に1回の開催となりました。そうなると、世界大会が次に日本で開催されるのは遥か先になる可能性があります。
そうなると、いちファンとしてやはり世界大会で日本チームが、日本のホームでプレイする姿を見たいものです。
ZETA DIVISIONのプレイオフ突破を祈るばかりです。
今回はリーグの仕組みを中心に紹介したため、リーグの詳細はPacificのみとなってしまいました。
AmericasにはLOUDやCloud9、NRG、EMEAには現世界王者・FnaticやNAVIといった強豪が所属しています。Pacific以外の注目チームについても、Masters Tokyo開催前に紹介できたらと考えています。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それではまた次回。
筆者:ともぞう
ともぞうと申します。
eスポーツに馴染みがない方はいきなり「え?」と思われることが多いかもしれません。eスポーツ界では本名ではなく、ゲーム内のハンドルネームで活動することが多く、この名義で5年ほど活動しております。
2017年までゲーム関係の会社で働いており、2018年からフリーランスに。その後、オーディションを経て、現在はeスポーツキャスターを主に活動しております。
この度、"広くeスポーツの魅力を伝えてほしい"というご依頼をいただき、私自身より多くの方にeスポーツを知っていただきたく、担当させていただくことになりました。
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