RIOT GAMESが送る、もうひとつのeスポーツ・ビッグタイトル
このVALORANTのプロリーグについては、同じRIOTが手掛ける別タイトルのノウハウが活用されているのでは?といわれています。
それが、『League of Legends』(以下、LOL)
League of Legends公式サイト(https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/)
本コラムの第1回でeスポーツの賞金について紹介しました。
その中で最も賞金が高いタイトル『Dota2』を紹介していますが、そのDota2と同じMOBA(Multiplayer online battle arena)ジャンルに属するのがこのLOLとなります。
賞金額の大きさという面ではDota2が注目されがちですが、知名度という観点でみると、MOBAにおいてはLOLの方が高いといえるかもしれません。
2023年のピーク視聴数を調べてみると、LOLが2,297,919なのに対し、Dota2は507,620となります。LOLは5月に、 Dota2は2月と4月に世界大会が開催されていることを考慮しても(注目の高い大型大会があったと考える)、LOLのeスポーツ人気が高いことが推測できるのではないでしょうか。
1年に2度開催されるLOLの世界大会
まず始めにLOLのeスポーツを紹介していくにあたり、世界大会を紹介したいと思います。LOLの世界大会は2023年シーズンにおいて2度の開催が予定されており、
5月: Mid-Season Invitational(ロンドン開催)
10月~11月:World Championship(ソウル開催)
となっています。
1年間の王者を決めるWorld Championshipが大会的には格上となります。World Championshipには、22チームが参加予定。
一方で、Mid-Season Invitational(以下、MSI)には13チームが参加。
参加チームの規模も違いますし、賞金総額もWorld Championshipはおよそ31億円(2022年の場合、2023年は未定)、MSIはおよそ3.5億円と大きく異なります。
この5月に2023年のMSIは、終了しました。優勝したのは、JD Gaming。
JD Gamingは中国チーム。また、このJD Gamingと決勝で戦ったBilibili Gamingも同じ中国のチーム。
MSI2023を優勝したJD Gaming(LOL Esports公式Twitterより)
ちなみに、2022年のWorld Championship決勝は、DRX vs T1となり、こちらはどちらも韓国チーム。
現在LOLのトップリーグにおいては、中国チームと韓国チームが覇権を争っています。eスポーツといえば、アメリカやヨーロッパの地域に強豪チームが多くいる印象を持っている方が多いと思いますが、LOLに関してはここ数年、中国や韓国チームの活躍が目覚ましいといえます。
そうなると、日本チームはどうなのか気になりますよね?
日本リーグ 「League of Legends Japan League」(以下、LJL)も年々盛り上がりをみせていますが、LOLのトップリーグに関しては少し複雑になるので、今回はこの点を詳しく説明していきます。
実力によって区分されている各エリアのリーグ
端的に言うと、LOLリーグの特徴は、実力によってリーグが大きく分けられているという点がポイントです。
まず、四大リーグと呼ばれるリーグが存在します。それが以下のとおり。
LPL:中国リーグ
LCK:韓国リーグ
LEC:欧州リーグ
LCS:北米リーグ
残念ながら日本リーグのLJLは、これらに属してはいません。この四大リーグの下に位置するリーグとして扱われています。
以下が、LJLを始めとした四大リーグに次ぐリーグとなります。
LJL:日本リーグ
LLA:南米リーグ
CBLOL:ブラジルリーグ
PCS:アジアパシフィックリーグ
VCS:ベトナムリーグ
これら9つのリーグがレギュラーシーズンを経て、世界大会に進出することができます。
では、四大リーグとLJLを含む5つのリーグは何が違うのか?今年のMSIを例に説明していきましょう。
2ステージ制により優勝を決めるMSI
まずは、MSI2023に出場したチームをエリア毎にまとめると以下のようになります。
MSI2023の出場チーム枠について(LOL Esports公式サイトより)
LPL:JD Gaming, Bilibili Gaming
LCK:Gen.G, T1
LEC:Mad Lions, G2 Esports
LCS:Cloud9, Golden Guardians
LJL:DetonatioN FocusMe
LLA:Rainbow7
CBLOL:LOUD
PCS:PSG Talon
VCS:GAM Esports
上記をみてもらえると分かると思いますが、四大リーグからは上位2チームがMSIに進出しています。LJLを含む5リーグはそれぞれ優勝チームのみが出場。
これだけでも四大リーグの特別感が感じられると思いますが、更に四大リーグのチームにはMSIにおけるシードも持っています。
MSIは、Play-InステージとBracketステージという2ステージ制で行われました。Play-Inステージを勝ち抜けば、Bracketステージに進めるという仕組みです。2023年最初のレギュラーシーズンにおいて、四大リーグで優勝したチームは、BracketステージからMSIを開始することができます。
ただし、1点補足があり、Bracketステージから登場したチームは、Gen.G、 T1、 JD Gaming、 Mad Lions、 Cloud9の5チーム。LCKからはレギュラーシーズンの優勝チームGen.Gと準優勝チームT1がシードされています。
これは、前述したとおり、2022年のWorld Championshipにおいて韓国チームが優勝したことから、MSIにおけるシード枠が追加で付与された形となります。
そのため、2023年のMSIはLCKのチームを除いた四大リーグの2位チーム3チームと、LJLを含めた5リーグの計8チームでPlay-Inステージをスタートさせました。
MSI2023 Play-Inステージの組み合わせ(LOL Esports公式サイトより)
Play-Inステージを突破したのは、Bilibil Gaming, G2 Esports, Golden Guardiansと結局LPL, LEC, LCSの四大リーグのチームとなり、Bracketステージは四大リーグの8チームで争われることになりました。
ちなみに、Play-Inステージにおいて、四大リーグvsその他リーグのマッチアップにおいて、四大リーグのチームは1マップも落とすことはありませんでした。BO5(3マップ先取)で行われたGolden Guardians vs PSG Talonの試合ですら、3-0で決着がついています。
それだけ、現在、四大リーグとそれ以外のリーグとの間には実力差があり、現在のリーグ形式が取られているともいえます。
2023年のスケジュールは、間もなく10月・11月に開催される2023 Wolrd Championshipに向けてレギュラーシーズンがスタートします。各リーグで熾烈な競争が再び始まるわけですが、Wolrd ChampionshipはMSIとまた方式が違います。
MSIの2ステージ制に対して、Wolrd Championshipは4ステージ制を予定しています。Play-In:Round1、Play-In:Round2、Swiss Roundステージ、Knockoutステージとなっています。前述した通り、22チームの参加に拡大されるため、かなりの試合を見ることができます。
今から2023 Wolrd Championshipが楽しみで仕方ありません。
年々高まる日本のLOL人気
世界の壁はまだまだ高いと言わざるを得ませんが、国内でのLOLのeスポーツシーンは確実に成長を続けているといえます。
LJLは2014年に創設され、現在に至ります。2018年くらいから国内ではeスポーツに注目が集まり始めましたが、それよりも前にリーグを創設していることは注目すべきことです。
取り組みも積極的で、コロナ前になりますがレギュラーシーズンの試合はヨシモト∞ホールで開催されていました。私も1度会場で観戦したことがありますが、座席は全て満席となり、熱心なファンの声援が選手に飛んでいたのを憶えています。
また、2022 Wolrd ChampionshipではDFMが大きな躍進をみせました。2022年のWolrd Championshipも4ステージ制で行われたのですが、DFMはPlay-In:Round1を突破。Play-In:Round2も1回戦を勝利し、あと1勝すれば次のステージに進出するところまで迫りました。本当に惜しかった!
実はこの時DFMで活躍したEvi選手は、その実力が認められ、LECリーグのTeam Hereticsに移籍。現在、ヨーロッパでレギュラーシーズンを戦っています。
ヨーロッパなので最適な表現ではないかもしれませんが、Evi選手は現役LOLメジャーリーガーなのです。
Evi選手のTwitterより
また、プロプレイヤーの活躍だけではなく、ZETA DIVISION所属のストリーマー・k4sen氏の活動もLOLの国内人気に影響を与えているでしょう。
定期的に開催しているLOL企画『The k4sen』は、先日行われたDream Hack Japanのメインステージでもイベントが実施されました。
The k4sen公式Twitterより
一般プレイヤーにとって比較的距離感の近いストリーマーがプレイすることで、ゲームの認知が改めて高まり、また内容もプロシーンほど複雑ではないので、新しく始めてみようという人が増えていることは間違いありません。
FPSタイトルが昨今では国内でも人気ですが、国内のeスポーツといえば、格闘ゲーム、そしてこのLOLが老舗といえるのではないでしょうか。
今後ますます人気が高まること間違いなしのLOL。
今年後半のレギュラーシーズンも開始しますので、一度注目してみてはいかがでしょう?
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それではまた次回。
筆者:ともぞう
ともぞうと申します。
eスポーツに馴染みがない方はいきなり「え?」と思われることが多いかもしれません。eスポーツ界では本名ではなく、ゲーム内のハンドルネームで活動することが多く、この名義で5年ほど活動しております。
2017年までゲーム関係の会社で働いており、2018年からフリーランスに。その後、オーディションを経て、現在はeスポーツキャスターを主に活動しております。
この度、"広くeスポーツの魅力を伝えてほしい"というご依頼をいただき、私自身より多くの方にeスポーツを知っていただきたく、担当させていただくことになりました。
このウェブサイトは株式会社WASABIZによって運営されています。無断複製、転載を禁止します。
Comments